| 相模湾と生きものたち |
新江ノ島水族館では、相模湾に暮らす生き物を多方面から紹介することに重きを置いて展示・飼育活動を行っています。そこでこのコラムの最初のテーマとして「相模湾と生き物たち」と題してお話をしたいと思います。
まず相模湾についてですが、南関東にお住まいの方には馴染みのある海ですね。相模湾をはじめとして湘南や江の島といった地名もよく耳にします。
さてこの相模湾ですが、その範囲はというと西は真鶴半島の南端、東は三浦半島の南端を結んだ直線の北側を言い、広く相模灘を含めると伊豆半島と伊豆大島と房総半島の南端を結んだ直線の北側のうち東京湾部分を除いた海域という事になります。
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| この海域は環境として多様性を秘めています。湾ですから当然のこと海岸があり浅い場所もあります。その反対に湾の中央には相模トラフと呼ばれる、丁度船の底の様な海底盆地がありその深さは1,500mを超えます。つまり湾という陸に入り込んだ海ながら深海もあるわけです。 |
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海岸から深海まで深さのバリエーションに加え、海水の要素も表層を流れる黒潮系水の温かい水、中層には北から流れてくる親潮系水の冷たい水、そして1,000m以深には2000年かけて地球規模で循環する深層水が流れるといわれます。このような多様な環境には様々な生物が生息します。魚類は日本近海産3,863種(淡水を含む)に対して1,300種以上が確認され、種数で3分の1に相当します。 |
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その中には例えばマイワシやマアジといった温帯の日本沿岸に特徴的に見られるものから、夏から秋にかけて黒潮の流れに乗ってやってくるいわゆる熱帯魚の子どもたち、それに北太平洋に主に生息する北方系の魚種も冬場を中心に見られます。また時にチョウチンアンコウやハダカイワシなどの深海魚も浅場に上がって来ることがあります。
つまり魚の世界だけでも多様な海だといえます。このような相模湾は生物学の対象としても早くから注目され、日本で最初、世界でも6番目に古い臨海実験所が湾奥の江の島に設けられました。またこの湾から採集された個体を元に初めて学名が記載された種類も多く、和名(標準和名)にサガミハダカ(魚類)、サガミコブシ(カニ類)、サガミバイ(巻貝類)など、この湾の名を冠して名付けられた生物も枚挙に暇がありません。 |
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| (展示飼育グループ 植田育男) |