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森、川、海・・・命の共存
 山や森に集められた水は、やがて川の流れとなり、地表を潤しながら海に注ぎます。水に溶け込んだ栄養分は(湧昇流や海底隆起によって戻ることもありますが)、ほとんどは長い年月をかけて深海に沈んでしまいます。
森が川を通して海へ栄養分を供給しつづけることで、海が砂漠化しないのです。「森が海を育てる」と言われるのはそのためでもあります。
しかし、その流れに逆らって、栄養分の沈下を食い止めているのが『生命の力』です。食物連鎖で例えれば、海から遡上したサケが上流でヒグマに食べられたとします。はらわたや肉はすぐ糞として森の肥料になり、食べ残した骨はジワジワと長時間ミネラルを溶出しつづけます。やがては熊の亡骸も含めて"海の恵み"が森に届いたことになります。
進化においては、4〜5億年くらい前、冷えた大地に植物が繁茂しはじめ、続いて昆虫、両生類と水中から動物が上陸しました。海から直接大地へと住みかをかえることは困難なので、特に両生類は川や湿地帯から徐々に上陸したようです。
こんな事から"海から川、そして森"の流れというものも存在しますが、現代ではこれらの流れを、人間の都合で遮る事実が多数ありますよね・・・ご想像ください。


川魚のジャンプ
※スケールは違えど、川辺に湿地を再現してメダカの流下を防いだり、コンクリート水路に落下したトウキョウダルマガエルやヤマカガシが這い上がれるようにスロープを設けたりして、自然のことを考えてくれる人たちもたくさんいるんですよ!


ところで皆さんは「仮想水」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
自然では地表に降る雨、地下水などは、その場所で利用されるものですが、人間が農産物を育て、それを別の場所に移動してしまうと、その場所に残る筈であった水分を持ち出してしまうのと同じ事で、その予想される水分量を「仮想水」といいます。アメリカでは毎年大量の麦を輸出しているため、農業用水が枯渇する減少が起こっています。

「仮想水」を栄養分に置き換えると、似たような事が日本の川でも起こっている可能性があります。つまり、流れが一方通行、行き止まり、釣り合わない・・・etc。
 "海の恵み"を川を通じて運ぶ生き物はどんなでしょう。相模川ではアユ、ハゼ類、モクズガニなどがいますが、海から森まで届けるにはカワウの採餌や、ギンヤンマの羽化など『生命の繋がり』、『生命の活動』が必要なんです!


この春、当館ではウグイやオイカワが渓流を遡(さかのぼ)る「川魚のジャンプ水槽」がオープンしました。飛び跳ねる魚たちから「生命は自分だけのものじゃないんだ!」、「希望に向かって羽ばたこう!」というサインを受け止めて下さい!!
川魚のジャンプ水槽
 
(展示飼育グループ 今井 啓吾
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